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March 13, 2026

抖音(ドウイン)とは何か?小紅書との違いと、日本企業が注目すべき理由

TikTokの中国版である「抖音(ドウイン)」は、月間アクティブユーザー8.5億人超・1日平均利用時間125分の巨大プラットフォームです。小紅書との本質的な違い、ユーザー層の比較、ライブコマースの可能性、日本商品が強いカテゴリを詳しく解説します。

なぜあの動画は1000万回再生されたのか?抖音アルゴリズムの全解剖

「投稿したのに誰にも届かない」

抖音(ドウイン)を始めた人が最初にぶつかる壁です。日活9億人というプラットフォームで、自分の動画が埋もれていく感覚。

でもこれは実力の問題ではなく、多くの場合、仕組みを知らないまま動いていることが原因です。

抖音のアルゴリズムは2025年に大きく進化しました。今回は、その最新の仕組みを日本人向けにわかりやすく解説します。

抖音は2025年、アルゴリズムを初めて「公開」した

2025年3月、抖音の総裁・韓尚佑氏が中国ネットメディアフォーラムの場で、抖音のアルゴリズム原理とプラットフォーム運営体系を初めて社会に公開すると発表しました。同日、「抖音安全与信任中心」というウェブサイトが立ち上がり、推薦アルゴリズムの基本ロジックが文書として公開されています。

これは業界に大きな衝撃を与えました。「ブラックボックス」と呼ばれてきたアルゴリズムの全体像が、初めて外部から確認できる形になったからです。

その中核にあるのは、「コンテンツのタグとユーザーのタグを照合する」という従来型の仕組みから、「ユーザーの行動確率を深層学習で予測する」という新しい仕組みへの移行です。

つまり抖音は今、「この動画は料理系だからグルメ好きに見せる」という単純なマッチングではなく、「このユーザーがこの動画に対してどんな行動(最後まで見る・コメントする・シェアするなど)を取る確率が何%か」をリアルタイムで計算しながら推薦を行っています。

流量池:動画が辿る8段階の「昇格ゲーム」

抖音の流量分配の基本構造は、小紅書と同じ「流量池(りゅうりょうち)」の積み重ね方式です。ただし抖音の場合、その段階数はより細かく設計されています。

抖音の流量分配は小紅書と同じ「流量池」の積み重ね方式を採用していますが、段階数はより多く、より細かく設計されています。2025年現在、新たに投稿された動画はまず初期池(冷启动)に入り、わずか200〜500人に表示されます。そこでの反応が良ければ第2池(約3,000回)へ昇格し、さらに第3池(1万2,000〜1万5,000回)へと進みます。好調なデータが続けば第4池(10万〜15万回)、第5池(40万〜80万回)、そして第6池(200万〜300万回)へと順に昇格していきます。さらに優れたコンテンツは第7池(700万〜1,100万回)に到達し、最終的に最上位となるトップ池では3,000万回以上の再生数を記録します。

2025年に変わった最重要ルール:「24時間勝負」から「7日間の熟成」へ

以前の抖音は、「投稿後24時間以内のデータがすべてを決める」という構造でした。最初の爆発力がなければ終わり、という世界。

しかし2025年のアルゴリズム改革で、この常識が大きく変わりました。

推流(すいりゅう)期間が最長7〜15日間に延長されたのです。

ある美容系アカウントの実例があります。投稿した化粧品レビュー動画は、最初の3日間で再生数が200回止まり。「失敗した」と誰もが思っていた4日目に突然5万回を突破し、最終的に大きく拡散しました。

これは「7日間慢熱推流(まんねつすいりゅう)」と呼ばれる仕組みによるものです。アルゴリズムが1週間かけてコンテンツの潜在力を試し続けるため、初動が遅くてもあきらめずに改善を続けることが以前より有効になっています。

「最初の3秒」で視聴者の40%が去る

流量池の昇格を左右する最重要指標が完播率(かんぱくりつ)——つまり「最後まで見た人の割合」です。

2025年の抖音アルゴリズムでは、動画の**冒頭3秒間の留存率が全体スコアの40%**を占めるとされています。

考えてみれば当然です。抖音のUIは全画面で動画が自動再生される設計。最初の1〜3秒で「これは自分に関係ない」と判断されれば、ユーザーは上にスワイプして次の動画へ移ります。その離脱がデータに残り、アルゴリズムが「この動画はユーザーに歓迎されていない」と判断して推薦を止める。

だからこそ、抖音のコンテンツ制作において最も重要な問いは「最初の3秒で何を見せるか」です。

具体的に有効とされる冒頭の作り方は3つあります。

① 結論から始める 「これを見れば〇〇の悩みが解決します」のように、最初に「この動画を最後まで見るメリット」を提示する。

② 衝撃や意外性から始める 予想を裏切る映像や言葉で、「え、なんで?」という疑問を抱かせる。

③ 共感できる問いかけから始める 「〇〇で悩んでいる人、あるある」のように、ターゲット層が「これ私のことだ」と感じる言葉から入る。

互動の重みは「転発>評論>点赞」

完播率と並んで重要なのが、互動率(ごどうりつ)——つまりユーザーがどれだけ反応したかです。

抖音の2025年アルゴリズムにおける行動ごとの重みはこうなっています。

シェア(転発)> コメント(評論)> いいね(点赞)> 保存(収藏)

シェアが最も高い重みを持つのは、「他の人にも見せたい」という行動が、コンテンツの拡散価値を最も直接的に示すからです。

ここから導き出される重要な示唆があります。「いいね」を押してもらえるコンテンツより、「シェアしたくなる」コンテンツの方がアルゴリズムに評価される。感情を揺さぶる、笑える、役に立つ、驚かせる——こうした「誰かに教えたくなる要素」を動画に仕込むことが、拡散への近道になります。

S/A/B/C:知られていないアカウント格付け制度

もうひとつ、重要な仕組みがあります。2025年から抖音が導入した創作者の4段階分類です。

アカウントは過去のパフォーマンスに基づいて、S・A・B・Cの4段階に格付けされています。

S級:流量が2倍に優遇される。投稿するだけで有利なスタートが切れる

A級:正常な流量配分+一定の優遇

B級:標準的な流量池からスタート

C級:審査がより厳しくなり、商業的な利用権限も制限される

重要なのは、この格付けがフォロワー数ではなく、コンテンツの質の安定性・ユーザー反応の深さ・アカウントの過去の実績によって決まる点です。

つまり、フォロワーが少なくても継続的に質の高い動画を出し続ければS級に近づける。逆に、大きなアカウントでもコンテンツ品質が落ちれば格付けが下がる。この仕組みが、抖音の「公平性」を担保しています。

2025年のアルゴリズムが「好む」コンテンツ

最新のデータをもとに整理すると、2025年の抖音アルゴリズムが特に流量を厚く配分しているコンテンツは以下の通りです。

① 非遺・伝統工芸・三農(農村・農業・農家) 中国政府の方針と連動して、文化的価値のあるコンテンツへの流量優遇が強化されています。日本の伝統的なものづくりや農業を扱うコンテンツは、この恩恵を受けやすい可能性があります。

② 知識系・深度解説2024年に「450分の紅楼夢解説動画が3億回再生」という事例が話題になりました。長尺であっても深みのある内容はアルゴリズムに評価されるという、以前の「短くないとバズらない」という常識を覆した例です。

③ 実用的なノウハウ 「〇〇の選び方」「〇〇をやってみた結果」など、実際に役立つ情報を含む動画は完播率・保存率ともに高く、安定して流量を獲得しやすい。

逆に流量が落ちているコンテンツ:

冒頭に引き込みのための「つかみ」だけあって中身が薄い動画

AI生成・編集が明らかにわかる画像・動画

同じ構成を繰り返す大量生産型コンテンツ

アルゴリズムを「理解する人」と「使いこなす人」の差

ここまで読んで、「なるほど、完播率と冒頭3秒を意識すればいいんだな」と感じた方もいると思います。

方向性としては正しい。しかし実際の運営においては、この理解をベースに、毎回の動画のデータを細かく分析し、どの部分で離脱が起きているかを確認し、次の動画の構成に反映させるという作業が必要です。

さらに、アルゴリズム自体が毎月のように細かく調整されるため、半年前の「正解」が今は通用しないということも珍しくありません。

「知っていること」と「継続的に成果を出すこと」の間には、日々の観察と改善の積み重ねがあります。