スマホのカメラが進化し、ビジネスでもSNS投稿や広告クリエイティブをスマホで撮る場面が増えた。写真は普段から撮るが、動画となると「何となく撮っている」という人も多い。趣味ならそれで十分だ。ただ、ビジネスで使う動画はもう一段高い基準が求められるので、意図を持って撮りたい。
本稿では3つを順に扱う。撮影前に確認する設定、編集で困らないための現場の基本、そしてスマホ映像をプロっぽく見せる構図テクニックだ。以下の設定はAndroid・iPhoneどちらでも行えるが、機種によっては選べない項目もある。
撮影前に、スマホの設定を確認する
まず解像度。多くのスマホでHDか4Kを選べる。高解像度ほど画質はきめ細かいが、そのぶんファイルサイズも大きくなり、空き容量が足りずに保存できないことも起こる。視聴者が4Kで見る想定でなければ、容量を抑えつつ画質も保てるHDで十分だ。次にフレームレート——1秒あたりに表示する画像数のこと。多くは30fpsか60fpsを選ぶ。高いほど滑らかだがファイルは大きくなるので、基本は30fpsでよい。テレビや映画のような高品質を狙うときだけ、60fpsと4Kをセットで使う。
グリッド表示はオンにしておく。画面に出る縦横2本ずつの線が、被写体の配置と構図を考えるガイドになる。そして場面に合った撮影モードを選ぶ。動きの速い被写体をスロー再生できるスローモーション、写真をつないでコマ送りにするタイムラプスなどがある。
編集で困らないための、現場の基本
何も考えずに撮ると、あとの編集で苦労する。背景に余計なものが映ったり映像が足りなかったりすると再撮影になりかねない。次の5つを押さえておく。
背景はすっきりさせる。屋外で人・車・看板が映り込むと被写体に視線が集まりにくいので、単色の背景を用意するなど整えてから撮る。ワンカットの長さにも気をつける。ワンカットとは1つのシーンを連続して撮った映像のことで、短く印象の強いカットほどシェアされやすく、同じシーンが続くと飽きられる。編集を見込んで10〜30秒程度で撮るとよい。明るさは品質を左右する。明るい場所は被写体が鮮明に写り、暗い場所はノイズが出たり見えづらくなるので、必要なら照明で被写体を明るく照らす。音にも注意したい。周囲の雑音や、マイクに当たる風はクオリティを下げる。とくに屋外では撮影場所を入念に選び、風防付きマイクを用意する。最後に、スマホは安定して持つ。手ブレ補正があってもブレは消えない。片手持ちは揺れやすいので、両手でしっかり持ち、腕を軽く曲げて脇を締め、体を固定する。
プロっぽく見せる構図テクニック
基本がわかっても、いざ構えるとどう撮るか迷う。いくつかのテクニックでほぼカバーできる。
まずは寄りと引き。寄りは被写体に近づいて表情や質感など細部を捉え、引きは離れて被写体が置かれた環境や全体像を見せる。組み合わせると緩急が生まれる。洋服の紹介なら、寄りで素材感を伝えてから引きで全身を映し、着たときの様子やどんな場面で着るかをイメージしてもらえる。説明的なシーンは中間の距離が分かりやすい。近すぎると実物より大きく、遠すぎると小さく見えるので、周りのものも一緒に映すと実際の大きさが伝わる。
アングル(カメラの角度)で被写体の印象は大きく変わる。目線より高い角度は空間を広く見せ、低い角度は被写体を大きく見せて迫力を出せる。同じアングルで撮り続けると間延びするので、いろいろな角度で撮って飽きを防ぎ、新しい発見を与えたい。
カメラは被写体に合わせて動かす。動かないものはカメラを動かす——木々や建物を背景に上下左右へ振ると空間や奥行きが出る。行列や電車のように横に長いものは左右に、高い建物のように高さのあるものは上下に動かすと全体を映せる。逆に動くものはカメラを固定する。動く被写体をカメラで追いすぎると映像が不安定で素人っぽくなるが、固定して撮ると自然な印象になる。スマホ用の三脚があると便利だ。
上達の近道は、実際に撮ること
SNSや広告の動画は、短い時間で惹きつけることが大事だ。伝えたい情報を一瞬で理解してもらうために、画質の粗さや手ブレといったノイズは極力避けたい。基本を押さえたうえで、アングルなども意識して雰囲気のある映像に仕上げたい。上達の一番の近道は、ここで挙げたテクニックを意識しながら、実際に手を動かして撮ってみることだ。






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