SNSの縦型動画広告は、興味がなければ一瞬でスワイプされる。なぜか見てもらえないというときでも、編集のひと工夫で効果が大きく変わることは少なくない。撮った映像をそのまま流すのではなく、テロップ・ナレーション・効果音・エフェクトを加えると内容が分かりやすくなり、「つい見てしまう」動画になる。
本稿では、編集が動画に与える5つの要素を整理したうえで、つい見たくなる縦型動画にするための4つの編集ポイントを紹介する。
編集が動画に与える5つの要素
編集は映像をつなぐだけではない。次の5つの要素を取り入れると情報が伝わりやすくなり、視聴維持や購入、問い合わせにつながる。動きは、素材そのものの動きと、編集で加えるテキストやイラストの動きを指す。動きのない動画は退屈で離脱を招くので、静止画をつなぐ場合でもテロップやイラストに動きを加えると目を引きやすい。BGMは雰囲気を作り、感情を引き出す。軽快なテンポはワクワク感を、ゆったりはしみじみとした印象を与え、ジャズにガヤガヤした音を足せばカフェの雰囲気も想起させる。効果音(SE)も感情を引き出すが、BGMが全体の雰囲気を作るのに対し、SEは特定の動作や状況を強調する。ドラムロールで期待感、何かが割れる音でショック、強調したい情報に和太鼓の「ドン!」で注目を集められる。テロップは伝えたい内容を文字化したもので、音が聞き取りづらいときや音声なし視聴でも内容が伝わる。フォントや色、動きで感情やトーンも表せる。ナレーションは音声での説明で、「ながら見」でも耳から情報が届く。テンポが速いと明るく、ゆったりだと落ち着いた印象になる。テロップは「視覚」、ナレーションは「聴覚」から届けることで、内容がより伝わる。
開始2〜3秒で動きに変化を
開始から同じシーンが3秒以上続くとユーザーは飽きて離脱する。冒頭で離脱されると商品の魅力を何も伝えられない。縦型動画の成果は冒頭で決まると言っても過言ではない。構成や絵コンテで決めたターゲットにメッセージを届けるためにも、開始2〜3秒に変化をつける。具体的には、テロップを動かす、BGMや効果音をつける、といった編集だ。冒頭3秒にほとんど変化のない動画より、背景素材やテキストに動きがあるほうがインパクトが強く、興味を引きやすい。冒頭に「つい見たくなる」仕掛けを編集で入れることが、視聴を続けてもらう動画につながる。
感情の変化をBGMや効果音で強調する
動画内でユーザーの感情の変化を表現すると、没入感が高まる。たとえば「BtoBマーケティングって何から学べばいいか分からない」という課題を持つ人に、ポジティブな解決策を提案する。この感情の変化のギャップを表現するために、適切な効果音・BGM・動き・配色・フォントを組み合わせる。感情の変化に音とデザインを重ねることで、商品やサービスの魅力をより効果的に伝えられる。
テロップで認知負荷を下げる
テロップが読みにくかったり情報量が多かったりすると、理解に負担がかかる。人が一度に処理できる情報量を「認知負荷」といい、高いと理解が追いつかず離脱につながる。リラックスした状態でも伝わる動画にするには、この負荷を下げる。3つの勘所がある。
1コマのテロップは15文字程度・2行に収める。人が1秒に読める文字数はおよそ4〜6文字なので、表示3秒なら約15文字。15文字を2行にすると視認しやすく、内容が伝わりやすい。大幅に超える場合は読点で表示タイミングを区切るか、シーンを切り替える。可読性も上げる。文字色は背景と同化しないようコントラストをつけ、四角で囲んだりシャドウをつけたりすると効く。配置は中段付近、被写体の近くに。中段は視線が自然と向き、人が話す動画では視線が顔に集中するので、顔の近くに置くと視線移動が減り負荷も下がる。セーフゾーン(一部カットされうる領域)を避けて、視認されやすい範囲に置く。
ナレーションで心地よいテンポを作る
ナレーションのテンポが悪いと違和感が生まれ、没入感が削がれる。2つの勘所を押さえたい。ナレーションの開始と同時にテロップを表示する。声と文字がずれるとテンポが悪く感じる。ずれは部分再生では気づきにくく、全体を再生して初めて気づくこともあり、編集中は見逃しやすいので、巻き戻しと再生を繰り返して細かく調整する。そして間をなくす。話の冒頭や合間にできる間や、「えー」「あのー」といったフィラーをカットすると、聞き取りやすくテンポも良くなる。
「なぜ自分はつい見たのか」を分析する
編集のポイントを挙げてきたが、成果を上げるうえで最も重要なのは、自分が縦型動画を見ているとき「なぜつい見たのか」を分析し、自分に落とし込むことだ。分析にはTikTokがおすすめだ。リアクションをもとに興味を持ちそうなコンテンツが優先表示される一方、多様なコンテンツとの出会いも重視され、好みに限らず様々なジャンルが流れてくる。まず10分ほど視聴し、視聴履歴を確認する。無意識に見た動画を見直して「冒頭のどこに惹かれ、どんな感情になったか」を、スキップした動画は「なぜ見なかったか」を言語化してみる。つい見てしまう動画には投稿者の知名度やテーマの面白さもあるが、冒頭の動き・BGM・テロップのデザイン・テンポといった編集に注目すると、自分でも作れる仕掛けが見つかるはずだ。







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