SNS投稿や広告など、ビジネスで動画を作る機会が増えた。高クオリティを求めるならプロに頼むことが多いが、SNSや広告用の動画は頻繁に新しいものが要るので、自分で作れると便利だ。そこで忘れがちなのがBGMと効果音である。TikTokやYouTubeは音声ありで見るユーザーが多く、映像に合ったBGMや効果音を入れると、より興味を引ける。
本稿では、BGM・効果音の役割、選び方、商用利用可のおすすめ素材サイト、そして逆効果にしないための編集ポイントを解説する。
BGM・効果音の役割
視聴者としては聞き流しがちだが、音には4つの役割がある。感情を引き出す——走る犬の映像に明るく軽快な音楽を当てるとワクワクし、速くて慌ただしい音楽を当てると「焦っているのかな」と心配になる。これを「感情誘導効果」という。効果音も同じで、ドラムロールで期待感、割れる音でショックを想像させられる。イメージと結びつける——シンフォニックで雄大なBGMは宇宙を、ガヤガヤした音は雑踏を想起させる。これを「イメージ誘導効果」という。ノイズを消す——屋外撮影で入る人の声や風の音を、BGMで隠せる(マスキング効果)。メリハリをつける——無音の動画はよほど興味がないと見続けにくい。BGMの盛り上がりに合わせて映像を編集し、アピールしたい部分に効果音を挟むと、視聴者を惹きつけられる。
選ぶポイント
素材サイトやアプリで探すことが多いので、2点を押さえたい。第一に映像とマッチさせる。雰囲気を表すBGMを探すには、聞いたときのイメージを言葉にして検索する。シチュエーションから連想すると探しやすい。ホテルの宿泊予約なら「厳か・静か・落ち着いた」→クラシックやジャズのような高級感のあるBGM、新卒採用なら「エネルギッシュ・フレッシュ・積極的」→明るく勢いのあるアップテンポなBGM、という具合だ。効果音は、作りたい動画に近いものをいくつか見て、どのポイントでどんな効果音を使っているか把握することから始める。注目させたいなら和太鼓の「ドドン!」やドラムロール、ファンファーレ、感情を伝えたいならピアノの「ガーン」やウィンドチャイムの「キラキラ」、歓声や拍手がよく使われる。イメージのないままサンプルを1つずつ聴くと時間がかかるので、「何を伝えたいか」「どんな気持ちになってほしいか」を決め、ジャンルを絞ってから探す。
第二に著作権・商用利用の可否・費用を確認する。商用利用は費用がかかることが多く、適切なライセンスがないと著作権違反になりうるので、基本は著作権フリー・商用利用可の素材から選ぶ。どうしてもこの曲を使いたい場合は、作曲家や音楽出版社から著作権の信託を受けているJASRACに申請して使用料を支払う。JASRAC登録曲はJ-Widという検索サイトで調べられるので、取り扱いが分からない曲は一度検索してみる。
商用利用可のおすすめ素材サイト
DOVA-SYNDROMEは著作権フリーのBGM・効果音を提供する素材サイトで、多くの作曲家が登録し1万5000曲以上ある。雰囲気や曲調、人気ランキングで探せる検索機能が充実している。
効果音ラボは効果音制作専門の個人事業主が運営し、ほぼすべてを本人が制作・録音しているためクオリティが一定で、テレビ番組・CM・ゲームでも使われている。2,000種類以上をダウンロードでき、「演出」「環境音」「戦闘」などカテゴリが分かりやすい。効果音をつけたいならまず覗いてみたい。
YouTube Audio LibraryはYouTube公式の素材サイトで、YouTube Studioにログインして閲覧する。著作権フリー・商用利用可・無料の音楽が1000曲以上あり、YouTube投稿者によく使われる聞き馴染みのあるBGMが多い。1点注意したいのが帰属表示で、ライセンスタイプを確認し、YouTubeのアイコンは帰属表示不要、CCマークは必要だ。CC曲は、ポップアップ内のテキストをコピーして動画の説明文に追記する。
TikTok商用音楽ライブラリは「TikTokクリエイティブセンター」内にあり、広告やオーガニック投稿などTikTok用の動画制作に便利だ。ただし「商用楽曲ライブラリ」に登録された音楽のみ使う。これ以外だと著作権が保護されていなかったり商用利用不可の可能性がある。
編集——音量とタイミング
雰囲気に合う音を選んでも、大きすぎたりタイミングがずれると逆効果だ。BGMはうっすら聞こえる程度に留める。大きすぎると登場人物やナレーターのセリフが聞こえず、前の動画との音量差で視聴者を驚かせることもある。割合でいうと、声のボリュームを100%とするとBGMは20%程度にすると、邪魔せず雰囲気を出せる。そしてタイミングを合わせる。曲は短いもので30秒、長いと20分以上とさまざまなので、動画の秒数に合わせてトリミングする。サビなど際立たせたい部分が流れないまま動画が終わらないよう、「映像が何秒だから曲のこの部分を切り取る」と考えて入れる。効果音もタイミングがずれると違和感が出るので、何度も再生して確認する。
音声オフのユーザーも想定して作る
見ているだけだとBGM・効果音の重要性は感じにくいが、作る立場になると、雰囲気づくりや盛り上げに一役買っているのが分かる。ただ、どんな動画でも必ず入れた方がいいわけではない。撮影時の音をあえて聞かせたい場合は邪魔になるし、ターゲットがミュートで見ることが多いなら必ずしも音は要らない。音声あり・なし両方の視聴者がいることを踏まえ、映像だけでも情報が伝わるように作ったうえで、ここで挙げたポイントを押さえたBGM・効果音を入れられると理想的だ。







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