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September 12, 2025

バナーでは伝わらない熱量を届ける、インタビュー動画広告の作り方

購買広告は機能やメリットを前面に出しがちですが、買い手は作り手のこだわりやユーザーの体験といった情緒でも動きます。インタビュー形式の動画は、高額なブランドCMなしでその熱量を届けられる手段です。誰に語ってもらうか、購入につながる構成、成果の9割を決める事前準備、そして注意点までを解説します。

購買を目的とする広告は、商品の機能やメリットを前面に出しがちだ。だが買い手は機能だけで動くわけではない。作り手のこだわりや、ユーザーが商品を通じて得た体験といった情緒的な要素は、スペック情報とは別の形で購買行動を左右する。こうした情緒的な価値は、声や表情で語り手の感情が伝わる動画と相性がいい。

とはいえ「情緒を動かす動画」と聞くと、ハイクオリティなブランドCMを思い浮かべ、ハードルを感じる人も多い。そこをぐっと下げるのが、インタビュー形式の動画広告だ。作り手やユーザー本人の言葉を自然に引き出し、大がかりな撮影なしで“熱量”を伝えられる。本稿では、その熱量を効果的に届けるための制作のコツと注意点を解説する。

誰に語ってもらうか

インタビューは「誰が語るか」で説得力が大きく変わるので、対象者選びが最初のステップになる。方向性は大きく2つ。商品・サービスの理念や背景を伝えたいなら、社長・創業者・生産者といった「作り手」側。使った感想や楽しみ方を伝えたいなら、実際に愛用しているユーザーだ。

目的語り手理念・サービス紹介・想いを伝える社長・創業者・生産者など(売り手)体験・口コミ・楽しみ方を伝える実際のユーザー(買い手)

いずれの場合も、自分の体験を通じて語れる人に依頼する。商品への愛着が薄かったり、その人ならではのエピソードがなかったりすると、表面的な機能の話に終始し、情緒的な価値につながる話を引き出せない。

購入につながる構成

広告として機能させるには、「何となく好きになってもらう」だけでなく、購入へ進んでもらう構成が要る。動画を「導入・中盤・締め」の3パートに分けると、それぞれの役割が整理できる。

パート役割伝えること導入続きを見る価値があると判断させる「つかみ」引き込む問いや主張中盤共感・納得してもらう問いの答えと、そこに至った理由締め商品を提示し購入を促す答えや理由とリンクした商品

視聴されるかは最初の数秒、とりわけ冒頭の0.5秒で決まる。目を引くフレーズを冒頭シーンに入れ、画面の一部に短い文言を固定表示すると、視聴する価値を一目で感じてもらえる。「◯◯機能がついていない商品が多い理由、知ってる?」を固定表示にし、語りで「実は世の中の9割くらいはついていないんです」と続けるイメージだ。ただし、つかみで視聴者の期待を裏切ってはいけない。動画自体が答えを出せる問い、かつ締めで提示する商品で解決できる問いに限る。

中盤では、導入で投げた問いに答える。先の例なら「◯◯機能」の必要性を具体的に説明し、「これほど大事なのに、コストを理由に9割の製品にはついていない」と展開する。締めでは、その問いを解決する商品を提示する。割引などのオファーを出せる場合は、締めで伝えると背中を押せる。

成果の9割は事前準備で決まる

インタビューの長所は、語り手の温度感や感情を乗せられること。これを失わないために、台本は事前に固めず、自然に話してもらう。そのぶんインタビュアーの引き出す力が問われる。質問内容とキャスティングが動画クオリティの9割を決めると思っておくとよい。事前準備は、人のアサイン・撮影日と場所の確保・内容の決定・当日のスケジュール、の4つに分かれる。

インタビュー撮影には最低5つの役割が要る。インタビュイー、インタビュアー、カメラマン、現場を仕切るディレクター、編集者だ。スキルに応じて兼務してよいが、役割としては5つある。それぞれ求められるものから選ぶ。

役割どんな人に頼むかインタビュアー商品を理解した担当ディレクターや運用者、取材に長けた編集者カメラマン撮影だけでなく音声収録や照明など環境を整えられる人ディレクター編集を見据えて現場を仕切り、緊張をほぐせる人編集者テロップ挿入から音声のノイズ処理までできる人

内容を詰める前に、まず撮影日を決める。実施が2〜3か月先になると聞きたい話が変わる可能性があるので、日程確定前に詳細を詰めきる必要はない。場所は、雑音が入らずインタビュイーの顔が見やすいところを確保したい。外部の音が入らない個室、関係者とカメラの三脚が入る広さ、背景に関係のない人や物が映らない、人の顔に影がかからない十分な明るさ、が要件だ。

日時と場所が決まったら内容を考える。質問は、訴求したいことに合わせ、「どんな話を引き出せれば商品の訴求につながるか」から逆算すると組みやすい。購入につなげる観点では、商品の説明と、CTAにつながる文言(「◯◯が売りなのでぜひ買ってみてください」「まずは◯◯を試すと良さを実感しやすいです」など)を含めるとよい。事前回答は基本もらわない。用意してしまうと棒読みになり、熱がこもらず感情が伝わりにくくなるからだ。話し慣れていない人なら、前にアイスブレイクを多めに取り、それでも緊張していれば身振り手振りもレクチャーする。質問が決まったら、このインタビューで必ず聞き出したいことをインタビュアーと擦り合わせておくと、当日の沈黙や脱線を防ぎやすい。そして当日は余裕を持ってスケジュールを立てる。とくに利用時間の決まったレンタルスペースは有限なので確実に回せる組み方にする。1分程度の動画を2〜3本作るなら、インタビューは1〜2時間取ると深掘りしきれる。

撮影当日の動き

当日は決めたスケジュール通りに進める。撮り直しは難しい前提で、当日も入念に準備する。撮影前に、マイクテスト(録音できているか)、カメラテスト(録画とバッテリー)、注意事項の周知、アイスブレイクの雑談、そして万一に備えてスマホやボイスレコーダーでの予備録音を済ませておくと安心だ。自分でインタビューする場合は、最初の答えで止めず深掘りすると、本当の素材が出てくる。

素材から1分の動画に落とし込む

撮影を終えたら、録画を1分程度の動画にする。工程は文字起こし→構成→制作の3つ。まず必要なフレーズを抜き出しやすいよう文字起こしする。ツールはSlackやWordの文字起こし機能、CLOVA Note、Vrewなどが使いやすい。次に、面白い・興味を引く話は動画のフックに、商品の説明は本当に伝えたい訴求軸に、CTAに使える文言は最後に、とカテゴリ分けする。マーカーを引いた箇所を中心に、前述の3パート構成に落とし込む。制作では、視聴維持と伝わりやすさのために、区切りごとに別アングルへ切り替える(複数角度で撮った場合)、登場する物や出来事は写真・動画を挿入して見せる、強調したいフレーズは色つき・大きめのテキストにする、といった編集を必要に応じて加える。外部に依頼する場合は、これらを整理して構成を渡す。

進める上での注意点

特定の人が出演して発言する動画は、インプレッションが増えるほど批判的なコメントも寄せられる。賛否のある内容を含めるなら、コメントが来る可能性と対応方針を事前に決めておく。

想定パターン例対応根拠のない非難「高いだけで中身スカスカ」「嘘ついてるだろ」速やかに非表示か削除。成果に悪影響なら広告文か動画に補足を追加誤解への指摘「手用クリームと言うが正しくは爪用では」訂正コメントを返す。該当シーンを削除・差し替えて入稿し直す

競合商品や、許可を取っていない場所・もの・人の撮影は、商標権や施設管理権の侵害などのリスクがある。撮影前に余計なものが映っていないか、許可があるかを確認する。よくある注意点は、出演者の肖像権と発言の使用許諾、映り込むロゴや商品パッケージの商標、店舗・施設内の撮影許可、背景のポスターやアート作品の著作権だ。

もう一つ、結果を左右するのが緊張だ。多くの人にとってインタビューは初めてで、ガチガチだと熱のこもった自然な話し方ができず、想いの伝わらない動画になる。だから前にアイスブレイクの時間を必ず設ける。ただしここで商品の話には触れない。インタビューで同じ話を繰り返すと最初の熱量が薄れるからだ。つい言いがちな「緊張していますか?」や、撮影についての過度な説明・注意も、かえって緊張を高めるので避ける。話す内容は、その日どう過ごしていたかや天気など、プライベートに踏み込まない軽い雑談がいい。打ち解けてから、インタビューを始める。

隠れたメリット——自社の強みに気づける

インタビュー動画には、もう一つ隠れた利点がある。「今まで気づけなかった会社の強み」を知るきっかけになることだ。質問を決めるリサーチ、創業者やユーザーの体験の傾聴、引きの強いカットの選定という過程で、新たな「自社ならではの強み」に気づくことがある。創業者が語るこだわりが、マーケチームの気づいていなかったUSPだった、というように。そこで得た気づきは、動画はもちろんLPやバナーなど別のクリエイティブにも活きる。これだけメリットがありながら、高額な制作費をかけずに取り組めるのが、インタビュー形式の動画広告の魅力だ。

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